このブログは、サルコイドーシス(サ症)や難病の仲間に向け書いています。
ここでは、私がサ症になって実際に受けてきた、さまざまな検査の体験を書いています。
今後、同じような検査をする際のご参考になれば幸いです。
初めまして、モモタ侍と申します。
2017年、突然、サルコイドーシス(サ症)と言う指定難病になりました。
サ症*は、体中にできる肉芽(にくげ)と言うできものが、体の正常な機能を妨げる病気です。
症状は人それぞれですが、私の場合、痛み、しびれ、疲れ がつらい自覚症状です。
*サ症の詳細は、難病情報センターHP→ さ行→84サルコイドーシス をご参照下さい。
私のサルコイドーシス
私のサ症は、レフグレン症候群(急性サ症の一つ)と言う、日本人には珍しい型のサ症です。
下記の通り 疾患は全身にあり、これまで沢山の検査を受けてきました。
サ症のある臓器:目、肺、皮膚、神経、肝臓、脾臓
現在の受診科 :呼吸器内科、循環器内科、神経内科、神経科、眼科、皮膚科、整形外科(7科)
経験した自覚症状:痛み、シビレ、疲れ、味覚/歩行障害、ふらつき、飛蚊症、耳下腺の腫れ など
これまで受けた検査
ここでは、実際に受けた検査の概要、及び検査についての自分なりの感想(◎=楽勝、〇=普通、✖=つらい)を書いています。
評価はあくまで私の個人的な感想ですので、参考程度にしてください。
〇 呼吸機能検査(肺)
努力性肺活量(FVC)、肺拡散能力(Dlco)で呼吸機能の経過観察をしています。
努力肺活量: 最大に吸った後、最後まで吐ききったときに、吐き出すことのできた息の量。 ガス拡散能力:体の中に酸素を取り込む能力。
肺活量や努力肺活量の測定は、下の絵のような「スパイロメーター」と言う機器で行います。
鼻をクリップで止め、呼吸管を接続したマウスピースを口にくわえます。
肺活量(基準値80%以上):
普通の呼吸を数回繰り返した後、大きく息を吐き → 大きく吸い→再び、大きく吐きます。
努力性肺活量(基準値70%以上):
静かな呼吸を2~3回繰り返した後、大きく息を吸い → 強い息で一気に全部吐きます。
息が枯れるまで踏ん張って吹き、息を吐き切るところが、少ししんどいくらいです。
下記が、私のサ症の呼吸機能の推移です。
呼吸機能検査(経過) | 基準値 | 17年9月 | 18年9月 | 19年9月 | 20年7月 | 20年9月 |
---|---|---|---|---|---|---|
努力肺活量(FVC) | 80%~ | 92.0% | 89.8% | 86.7% | 71.1% | 83.8% |
肺拡散能力(Dlco) | 70%~ | 65.7% | 79.3% | 64.8% | 56.4% | 75.2% |
発症から20年夏まで、呼吸機能が低下し続け、最後は、呼吸が浅くなりました。
その際、空気の有難さが身に沁みました。
20年8月ステロイド治療を開始、21年冬現在、呼吸は正常化しています。
✖ 気管支鏡・肺生検(肺)
肺に内視鏡のような管を入れて組織を取る検査です。
私は、胃腸の内視鏡は平気なので、そのくらいに思っていました。
しかし、肺に気管支鏡を入れるのは、けっこう痛くてつらい検査でした。
とは言え、サ症の確定診断には、この検査が手っ取り早いようで、大切な検査と聞きました。
✖ 造影検査
MRIや蛍光眼底検査の際、造影剤(画像判断を容易にする薬)を使って検査をします。
検査自体は問題ないのですが、造影剤がやっかいでした。
検査中に造影剤を注入するのですが、体がカッと熱くなり、ひどい吐き気が起こります。
数秒なので、吐く手前で終わるのですが、毎回辛い思いをします。
症状は、個人差があるでしょうが、私には辛い検査の一つです。
その他の検査
〇 腹部/心エコー:内臓や心臓の経過観察の為、半年に一度、検査を受ます。
腹部/胸にゼリーを塗り、その上にプローブと言う器具を当てて内臓や心臓の状態をみます。
痛みは全くなく、指示に従って、息を吸って、お腹を膨らませて止める、のを繰り返します。
私は、研修医の訓練台になることが多く、横向きで長く静止している時間が少し辛かったです。
〇 生検(皮膚、肝臓):皮膚はメスで患部を開き、肝臓はお腹に注射を差し組織を取りました。
どちらも局所麻酔の注射が少し痛いくらい(歯の麻酔より痛くなかった)です。
難病の組織は、研究材料としても役に立つようなので、生検には積極的に協力しています。
◎ ガリュウムシンチ(全身):検査自体はMRIやCTと同じような感じで、全く痛みもありません。
検査前に注射や絶食がありました。
〇 髄液検査(神経):背中から注射を差して取ります。
脊髄が傷ついて動けなくなる?など 勝手に恐いイメージを持ってましたが、痛みも、手順も通常の採血とたいして変わりませんでした。
◎ 蛍光眼底検査(眼):ぶどう膜炎の状態を見る為に、眼底の写真を撮ります。
先に書いた造影剤の辛さを除けば、痛みも無く、座って写真を撮るだけです。
その名の通り検査後に蛍光色の尿がでました。
撮った写真をみると、眼の血管がブドウのようにボコボコに腫れていました。
だから、ぶどう膜炎と言うのだと思っていましたが、間違いでした。
ぶどう膜とは、茶目の部分から奥に広がる、虹彩・毛様体・脈絡膜と言う3つの組織の総称で、形も色もぶどうの房に似ていることから、そう呼ばれるそうです。
血液検査
月に一度は血液検査を行い、サ症の活動性や薬の副作用などを見ます。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)、可溶性インターロイキン2レセプター(sIL-2R)などで活動性を見ています。
下記は、私のサ症の血液マーカー推移です。
血液検査(経過) | 基準値 | 17年9月 | 18年9月 | 19年9月 | 20年7月 | 20年9月 | 20年10月 | 20年11月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ACE | 7.7~29.4 | 55.1 | 26.9 | 32.8 | 34.8 | 20.1 | 14.6 | 15.4 |
sIL-2R | 121~613 | 3,297 | 862 | 1,243 | 1,211 | 412 | 278 | 257 |
KL-6 | ~500 | 684 | 725 | 1,008 | 981 | 1,063 | 614 | 523 |
サ症マーカーは発症時とても高く、その後 下降し、異常値のまま安定していました。
(間質性肺炎で高値になる)KL-6は、正常値から肺画像の増悪、肺機能の低下に伴い徐々に悪化。
いずれも、20年8月のステロイド治療により、正常値に戻りました。
最後に
難病は、一般的に治療法が無いので、体の変化を経過観察(検査)で見るしか無いようです。
疾患が全身にある為、病院に行くと各科をハシゴする日もあります。
ステロイド治療後は、呼吸器内科が、軸となり、サ症の症状全体をコントロールされてます。
アメリカには総合診療と言う概念が、古くからあるそうです。
免疫関連の全身疾患は、総合診療科が司令塔になり各科との連携を取ると聞いたことがあります。
そのような病院の機能が、日本でも早く標準になってほしいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。