このブログは、サルコイドーシス(サ症)や難病の仲間に向け書いています。

ここでは、2020年夏に始めた、ステロイド剤治療の経過を実体験に基づき書いています。

ステロイドは、その副作用から悪い印象を持たれている事も多い薬です。

ただ、今の所、副作用の少ない私にとっては、命を救ってくれた魔法の薬です。

ステロイド治療による反応、副作用は、体質によってバラバラと聞き来ますが、私の1例が、何かの参考になれば幸いです。

モモタ侍モモタ侍

ステロイド剤は、体の副腎皮質という器管からでるホルモンを基にした薬です。

 

初めまして「モモタ侍」と申します。

3年前、突然、サルコイドーシスと言う指定難病になりました。

サ症*は、体中にできる肉芽(にくげ)と言うできものが、体の正常な機能を妨げる病気です。

症状は人それぞれですが、私の場合、痛みしびれ疲れ がつらい自覚症状です。

*詳細は、難病情報センターHP→ さ行→84サルコイドーシス をご参照下さい。

サルコイドーシス発症時

発症当時、私は、仕事でロシアに住んでいました。

春頃に、ひどい息切れ疲労感があり、その後、手足の関節痛が発生しました。

初夏に、カエルの卵のような物が見え始め(飛蚊症)、目を閉じても光が差込みました(光視症)。

続いて、下肢がパンパンに腫れ、赤いブツブツ(結節性紅斑)がでました。

帰国して、大阪の大学病院を受診し、肺の影肺門リンパ節)も見つかりました。

これらの症状からサ症が疑われ、17年9月に検査入院、確定診断を得ました。

その後も、体の痛み、シビレ、耳下腺の腫れ、強い立ちくらみ、歩行障害、ふるえ、耳鳴り 沢山の症状が出ては消え、一部は残りました。

ステロイド治療 ~3カ月の経過

自覚症状の中でも、特に部位の特定出来ない全身の痛みひどい疲れに苦しみました。

その為、治療の第一選択肢であるステロイドを試し、早く楽になりたいと思っていました。

しかし、ステロイドのサ症への効果は、今の所、確約されていません。

また、ステロイドは、さまざまな副作用が起こる薬です。

最悪の場合、サ症は改善せず、副作用だけが追加となることも想定されました。

また、残りの人生を考えて、副作用に悩む時間を少しでも短く、と主治医は考えて下さいました。

これらの話し合い・検討を、主治医と積み重ねてきました。

しかし、3年が経過した頃、呼吸機能の悪化、咳・息切れが強まり、治療が避けられなくなりました。

ステロイド治療開始 1週目

8月初に入院、ステロイド剤のプレドニンを30mg(6粒)/日から服用開始しました。

私にはステロイドが劇的に効き、2日目には、皮膚サ症の赤色が薄く、呼吸も楽になりました。

(通常は、開始から2~3週間後から効きだすそうです。)

肺のレントゲン写真も、白い影が、入院前に比べて目で見て分かるほど薄くなりました。

何より大きかったのは、痛み、疲れ などの強い自覚症状が弱まり始めたことです。

それは、これまでの非ステロイド系の薬では感じられなかったスッキリした効き方でした。

画像が示すように、白い影(たぶん肉芽種)が小さくなり、各臓器への悪影響が減ったのだと思います。

痛みと同時にひどい疲れが減り、気力が戻り、生活の質が大きく改善し始めました。

2週目

1週目ほど劇的では無いものの、肺の影が更に薄くなりました。

サ症の血液マーカー(ACE、sIL-2R)や肝臓数値(ALT、AST、ALP)が、改善し始めました。

自覚症状や血液数値が改善したので、飲んでいた薬の見直しを医師と行いました。

ステロイド剤を始めると副作用対策としてお薬が増える傾向にあります。

私の場合、下記の見直しで 薬の量を維持する事に成功しました。

薬が増えると、精神的にも落ち込むので、薬の中身を見直すのは大切だと思います。

(増えた薬)

  • プレドニン :2錠(スタート時6錠)/1日1回、ステロイド剤
  • バクトラミン:1錠/1日1回、免疫力増加、ステロイド副作用対策
  • ボナロン  :1錠/週1回、骨粗しょう症対策、ステロイド副作用対策

(減った薬)

  • ロキソニン      :2→0錠/1日1回、痛み止め
  • ウルソデオキシコール酸:2→1錠/1日3回、肝臓の薬
  • グリチロン      :2→1錠/1日3回、肝臓の薬

(維持した薬)

  • サインバルタ :1錠/1日1回、抗うつ剤、シビレ・痛み止め
  • ラベプラゾール:1錠/1日1回、胃の薬、ステロイド副作用対策
  • テプレノン  :1錠/1日3回、胃の薬、ステロイド副作用対策

3週目

治療の第一目的だった肺は、機能も画像もかなり改善しました。

辛かった痛み、疲れなどの自覚症状も弱まり、元気だった頃を思い出す日もあります。

 

呼吸機能の検査数値は、入院前より改善し、血液マーカーも正常値に近づきました。

それに伴い、咳も無くなり、呼吸も楽になり、空気のありがたさを実感しました。

副作用は、気持ちの高揚感食欲増進と言ったくらいのもので、辛くはありませんでした。

経過も良いので、8月末で退院し、プレドニン30→25mg/日に減量となりました。

2~3カ月目(現在)の経過

プレドニンは、9月:25→20mg、10月 :20→15mg、11月 :15→13mgと減量中。

(目標の維持量は5mg前後。)

 

10月の減量時(20→15mg)に体の痛みが出た為、医師の指導の下、減量速度を落としました。

その後も薬の減量時に、少し問題を抱えますが、今の所、良好な経過です。

心身ともに改善傾向で、体調の良い時は社会復帰したい気持ちも芽生え始めています。

 

下記の通り、検査値も、呼吸機能やサ症の血液マーカーは正常値に戻りつつあります。

肺の影も、更に少しずつ改善しています。

 

シビレの自覚症状は残りましたが、薬(サインバルタ)でコントロール出来ています。

(神経は一度痛めると再生せず、シビレが残ることがあるそうです。)

 

一方で、次の副作用と思われる異常値も出始めています。

γGPT(肝臓)が上昇。 入院前:122→9月:281→10月:341→11月:451。

他の肝臓の数値は下がった一方で、γGPTだけは300台の高い数値を維持しています。

ロキソニン(非ステロイド系)でも、この数値は高かったので薬の副作用と思われます。

肝臓の薬も飲んでいるので、他に方法は無く、お酒を控えるように心がけています。

 

血糖値の指標であるHbA1cと言う血液数値も若干の異常値です。

私の場合、ステロイドにより食欲が増進され、食べても食べても空腹感が残ります。

それに任せて食べ続けた結果、体重が過去経験したことの無い値になりました。

今は毎日体重計を見ながら食事内容、量と質を調整しています。

子供の頃からガリガリの私には初めての経験です。 人生何が起こるかわかりません。

その後のステロイド治療経過について、下記もご参照頂けると幸いです。

  1. ステロイド治療 半年の経過【ステロイド3】
  2. ステロイド治療 1年 免疫抑制剤・漢方薬【ステロイド4】

モノの見方が少し変化したこと

サ症を発症して早くも3年が経過しました。

自分の将来に悩むこともせず、親に言われるままサラリーマンになり30年やってきました。

特に、発症前の10年は、入社の理由でもあった海外勤務もかない、全てが順調でした。

サ症を急性発症し、今迄の積上げを全てを失い、人に八つ当たりし、自暴自棄にもなりました。

そして、当事者として人の痛みを知るうちに、モノの見方や考え方に、少し変化が起こっています。

以前は、いくら疑問を感じていても、価値基準が、既成の相対価値(会社の大小、役職の上下と言ったもの)でした。

会社と言う狭い世界の中では、それしか見えず、そう生きるしか無かったようにも思います。

しかし、そんな世界から距離を置いた今、自分に残っ価値価基準は非常に基本的なものです。

それは、ちゃんと他人を思いやれる、受けた恩は返す、礼節を重んじるなど 絶対価値です。

会社時代の自分を思い起こすと、猪突猛進で、やや狂信的だったとさえ思えます。

サ症が、本来の自分を気付かせてくれた、サ症に救われたのかもしれません。

最後に

サ症や多くの難病は10万人に数人と発症確率は非常に低いと書いてあります。

一方で、強いストレスの中、私の周りだけでも、難病になった人が数人います。

難病になって、人間の体や心は、環境変化に非常にデリケートだと感じます。

社会が厳しくなり、ストレス要因が増え、難病の発症率は増えているのではないでしょうか。

 

私のサ症は、レフグレン症候群と言う、日本人(特に男性)には非常に珍しい型です。

珍しいサ症の経過を書いたこのブログが、サ症の原因解明への一助になることを願います。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。