このブログは、難病やサルコイドーシス(サ症)の仲間に向け書いています。
ここでは、約4年前に発症した、私の急性サ症の経過。
そして、昨年(2020年)夏に入院、開始したステロイド剤*による治療(免疫抑制剤、漢方薬と併用)の経過について書いています。
何かのお役に立てば幸いです。
*人体の副腎皮質と言う器官から分泌されるステロイドホルモンを基礎に作られた薬
初めまして、モモタ侍と申します。
50歳を目前に、突然、サルコイドーシスと言う指定難病になりました。
サ症*は、体中にできる肉芽(にくげ)と言うできものが、体の正常な機能を妨げる病気です。
症状は人それぞれですが、私の場合、痛み、しびれ、疲れ がつらい自覚症状です。
*サ症の詳細は、難病情報センターHP→ さ行→84サルコイドーシス をご参照下さい。
私のサ症の現状
私は、2017年の夏に、赴任先のロシアで急性サ症(レフグレン症候群)を発症しました。
その後4年間、非ステロイド系の薬(ロキソニンなど)で辛い痛みに対処、経過観察してきました。
しかし、昨夏、肺の機能低下に伴い、入院してステロイドの治療を開始しました。
ここでは、その経過について書いています。
ステロイド治療 約1年の経過
発症時から、少しずつ影が出来ていた肺の画像が、昨年の夏には、かなり白になりました。
呼吸機能も低下、自覚症状(咳/息切れ/呼吸時の肺の異常音)もひどくなりました。
そこで、1カ月程入院してステロイド(プレドニン)治療に踏み切りました。
結果、私にはステロイドが非常に良く効き、肺の画像は2~3週間で大幅改善しました。
肉芽と思われる、画像の白い部分が、今は、ほぼ消え去りました。
また、辛い自覚症状だった「痛み」が消えたのが、一番救われたことでした。
サ症は、各臓器の疾患以外に、痛み、疲れ、シビレなどの 臓器非特異的全身症状*が特徴です。
長引く痛みは、拷問を受け続けているような、肉体的・精神的ダメージを受けます。
非ステロイド系の薬(ロキソニン)では取り切れない痛みも、嘘のように消えて生き返りました。
*目や肺など 固有の臓器が原因で無い症状で、非常に細かい末端神経障害の可能性とも書かれています。
一方で、ステロイドの一番のデメリットは、さまざまな副作用のリスクがあることと言われます。
その為、使用料を少なく、使用期間をできるだけ短くするのが理想的です。
私の場合、今のところ特に大きな副作用はありませんが、肝臓のγGTP値だけが悪化しています。
一番悪い時は、数値が430(正常値:50前後)の異常値になりました。
プレドニンの量は、20年8月開始:30mg/日→ 9月: 20mg → 10月: 15mgと減らしました。
そこから毎月 1mgにペースを落とし、21年1月に第一目標の10mg/日に到達しました。
サ症 再燃
プレドニン開始から半年ぐらいの間、薬の減量も体調も、何もかもが順調過ぎるくらいでした。
しかし、10mg/日を切ったあたりから、QOL(生活の質)が不安定になる日が増え始めました。
そして、治療で正常値になっていた血液マーカー(ACE、sIL2、KL6など)が悪化傾向に転じました。
今年、4~6月は、8mg/日迄減らして様子を見ていました。
しかし、発症当時を思わせる辛い痛み、しびれ、疲れが再燃しました。
それに連動して、血液、肺の画像などの検査傾向に転じました。
6月に主治医からも、再燃と言われプレドニンを、12mg/日まで再増量しました。
再増量すると、痛みや疲れも減り再びQOLも安定し始めました。
気持ちが少し高揚しすぎる感じもあり、医師と相談し7月から11mg/日に減らしました。
8月現在、QOLもモチベーションも良い感じです。
サ症について、ステロイド 10mg/日 前後でよく再燃する、と症例報告で読みました。
ステロイドの減量については、効果が1~2カ月遅れて自覚症状に反映される気がします。
例えば、10mg/日以下に減量したのが4月頃でしたが、6月頃に再燃傾向が表れました。
減量時は、体調や検査結果を、医師とよく相談しながら、ゆっくり目に減らすのが良く思います。
ステロイドを1年使った私の今の感想は、やはり魔法の薬です。
呼吸困難や辛い痛みから救ってくれました。
ステロイドを減らす
今回の減量で、私の場合、ステロイドを10mg/日以下に減らすと、再燃する事がわかりました。
一方、ステロイドとは長く付き合う必要があり、少しでも維持量を減らさなければなりません。
そこで、主治医と相談し、他の薬との併用を8月から始めました。
免疫抑制剤(リウマトレックス/メトトレキサート)との併用
一つ目は免疫抑制剤のリウマトトレックス(メトトレキサート)と言うお薬です。
関節リウマチで中心的役割を持つお薬と書かれています。
サ症では、ステロイドの副作用 軽減の為、この併用は、一般的なようです。
しかし、免疫抑制剤にも、口内炎、腎機能/肝機能障害や間質性肺炎など 副作用のリスクがあるそうです。
事前準備として、主治医の指示にそって血液検査をしました。
この薬を使うにあたって、肝炎が無いかなど 調べる必要があるそうです。
また、他の薬との飲み合わせも調べて頂きました。
ひとまず、私は使える要件を満たしていたので使用開始しました。
私の分量は、6mg/週ですが飲み方が少し変則的です。
例えば月曜日の朝、夕(各2mg)、火曜日の朝(2mg)飲んでその週(計6mg)は終わり。
また、翌週は月曜、火曜と同じ飲み方をします。
飲み忘れが起こりそうですが、このような飲み方をする薬は(抗がん剤など)あるそうです。
最初の週は、薬の影響か?精神的なものか? 痛み、下肢のダルさ、胃の不快感などありました。
しかし約2週間が経過した今は、特に問題は感じません。
血液検査も、免疫抑制剤による副作用は今のところ出ていません。
何が効いたのか? 400超あったγGTPが290迄 落ちました。
漢方(せんじ薬)も 始めました
ステロイドと同様、免疫抑制剤にも、強い副作用のリスクがあります。
私の辛い痛みを抑えられ、長期的に使っても副作用の少ないモノが他にも無いか?
サ症に漢方薬が効いたと言う症例報告*を読みました。
*日呼吸誌2012:漢方治療が奏功した全身症状を伴うサルコイドーシスの1例
例えば、私のサ症には(抗炎症効果のある)ロキソニンが良く効きます。
漢方薬にも似た効果を持つ、小柴胡湯、柴苓湯 と言ったものがあると書かれています。
私の神経科の主治医は、東洋医学の専門医でもあるので、早速相談しました。
(大学病院のメリットとして、いろいろな分野の専門医がいらっしゃいます。)
漢方=生薬は、副作用は無いと思っていたのですが、やはり副作用が出るものもあるとのこと。
副作用の出やすい成分を避けて独自に処方して下さいました。
漢方を扱う薬局は限られています。
しかし、住んでいる大阪府堺市には、良い漢方薬屋さんがありました。
取り寄せ・配合に1週間以上かかる事もあるそうですが、翌日には入手できました。
さすが、歴史ある南蛮貿易の街、なんでも揃います。
サ症の特定疾患の保険証も使えて、薬代もお手頃でした。
薬のせんじ方は、ティーパックに入れられた漢方薬をポットに入れて煮込みます。
3~40分ほど掛けて水分が半分になるくらいになる迄、弱火で煮詰めます。
それをマグカップに入れて1日かけて少しずつ飲みます。
正にせんじ薬と言ったような黒色で、臭いはセロリのよう。
でも、飲むとそれ苦みも無く、苦も無く続けられています。
「免疫抑制剤」と「漢方」、副作用を見る為、一つずつ試そうと思っていました。
しかし、休職中の今、出来るだけ多くの事を試し、投薬を安定させたい気持ちがありました。
結局、ステロイドが減れば良い、とシンプルに考え、一緒に開始しました。
今の所、それぞれの効果はわかりませんが、9月は体調が非常に安定していました。
後は、主治医と共に、経過を一つずつ確認し、ステロイドの再減量を試します。
サ症(難病)と4年間付き合ってみて
この4年間、少し光が見えては、その後、真っ暗闇に突き落とされるような日々の連続でした。
少し良くなると、どうしても「寛解」の文字と期待が頭にちらつきます。
すると、増悪して気持ちが落ち込む、その繰り返しでした。
ステロイドと言う最後の一手を打っての「再燃」は、やはり精神的にきつかったです。
ただ、4年の間に、その一喜一憂の波も少し穏やかになり、立ち直りも早くなった気がします。
いつかは治るのでは?と言う、淡い期待は一生は消えないかもしれませんが。
以前、難病の仲間から「6割出来たら合格」と思うようにしてると聞きました。
難しいですが、自分でも今、それを試しています。
病気のハンディ分、合格点を下げ、出来た自分を褒めてあげる機会を増やす。
心にとって良い効果がある気がします。
最後に(サ症とコロナワクチン)
私の市では、基礎疾患対象のコロナワクチン接種が6月後半に始まりました。
さっそく、応募して6月末と7月末の2回、モデルナ製のワクチンを近くの体育館で受けることが出来ました。
ちまたの噂通り?高齢と男性と言う要因が重なってか、いずれもほぼ無症状でした。
私は、インフルエンザの予防接種で、いつも体調が悪くなります。
サ症とワクチンの関係も不安でしたが、腕が少し痛いぐらいで、他には何も起こりませんでした。
ステロイドで体調が安定した時期に、接種できたことも良かったと思います。
コロナの脅威の中、ワクチン接種して下さった医療従事者の方々には、深く感謝します。
最後まで読んでい頂きありがとうございました。